令和7年度処遇改善加算の計画書提出についての情報をUPいたしましたが、今回は同時に実施が発表された「介護人材確保・職場環境改善等事業補助金」について解説いたします。
「介護人材確保・職場環境改善等事業補助金」は、処遇改善加算を取得していれば整備する必要がある「職場環境要件」を整えことを目的に設けられました。この「職場環境要件」はもともとは令和6年度中に整備する義務がありましたが、厚生労働省から発表された介護保険最新情報vol.1352によると、令和7年度中に整備することを誓約する書類を提出すれば令和7年度の処遇改善を取得して良い、とのことで、職場環境要件の整備猶予期間が与えられた、ということになります。そしてさらに「介護人材確保・職場環境改善等事業補助金」を受給する事業者は更に猶予期間を設けられる、と解釈できる文面が載っております。では、この「介護人材確保・職場環境改善等事業補助金」とは何なのでしょうか。
※障がい福祉も2月19日に発表されました。詳細はこちらをクリック。
ざっくりまとめますと、事業者が選択する月の売上総単位数に、定められた料率にて算出されて給付額が決定される1回ぽっきりの処遇改善加算のようなもの、と捉えていただいて良いでしょう。
対象となる月を令和6年12月から令和7年3月の中から事業所自らが選択し、選択した月の介護報酬または障害福祉サービス報酬に、サービス種別ごとに定められる補助金交付率を掛けて補助金が交付されます。そして、受け取った金額よりも1円以上多く目的に沿って使用し、実績報告をする、というものになります。
【どの事業所が対象になる?】
厚労省から205年4月15日が締切と発表されている令和7年度の処遇改善加算Ⅰ~Ⅳのどれかを算定しており、令和6年12月から令和7年3月の間に指定事業所として介護保険や障害者総合支援法に基づいた介護サービスの売上が発生する事業者は計画書を申請すれば対象になる、とのことです。
【いくらもらえる?】
令和6年12月から令和7年3月の中から事業所自らが選択した月に基づいた総単位数に交付率がかけられる。(例:介護保険の訪問介護であれば指定した月の総単位数の10.5%)
※居宅介護や重度訪問介護など障害者総合支援法に基づく訪問サービスは異なる交付率になります。
※地域区分による地域差があります。
【介護人材確保・職場環境改善等事業補助金の用途として認められる経費の例】
①介護助手を採用するためにかかった採用費等
②職場環境要件を整備するための研修を受けた際に発生した研修費用等
③従業員へ手当として支給する人件費等
④その他の費用(まだ詳細発表なし)
弊所でも特に②や④は具体的にどのような費用が認められるのか、を都道府県の担当者に問い合わせを行いましたが、厚労省より発表されている書面に掲載されている事以外は詳細は不明のようです。
Q&Aの第1弾(介護保険最新情報vol.1357)も2月18日に発表されており、ここに掲載されている内容を確認する必要があります。
弊所では、この「介護人材確保・職場環境改善等事業補助金」の交付を受けて、職場環境要件を整備して要件をクリアしたい、という事業主様を全力でサポートしております。整備の具体例もご案内しておりますので、交付申請等をご検討されている事業主様はぜひお気軽に弊所までお問合せください。
※各都道府県によるローカルルールが設けられている可能性がありますので、申請時には必ず所轄の都道府県の案内をご確認ください。
2025年の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
弊所は昨年2024年にたくさんの方に支えていただきながら開所することができました。心から御礼申し上げます。
私たちの経験・知識を必要としてくれている方がどれぐらいいるのか、不安ばかりのスタートでした。しかし、たくさんの介護・福祉事業者の皆様から「こんな社労士を探していた」・「初めて福祉事業を立ち上げるので人事労務以外の相談にも乗って欲しい」・「事務員がいなくなって処遇改善加算の事務に困っていた」・「こちらは東京だけど評判を聞いてホームページから問合せしました」などのお問合せをいただき、私たちに求められている介護福祉業界への貢献が何か、ということを実感できた年でもありました。
2025年も従業員雇用に関わる介護福祉業界特有の悩みは尽きません。
①処遇改善加算の制度が改正2段階目に入り処遇改善加算の還元方法が賞与のみではなく給与での還元基準がスタート
②処遇改善加算の給与還元で社会保険の等級アップによる法定福利費の負担増
③最低賃金アップによる労務費増加
④加算取得によるご利用者への負担増の説明
⑤人財不足に対応するための人事制度導入、離職対策の実施、採用費削減の取り組み
など、介護福祉事業者に突き付けられている課題は山のようにあり、コンプライアンスが求められる業界として着実に対応し、かつ利益創出による健全な経営が必要となります。
介護現場の生産性向上が進められ、介護現場の中核人材の重要性がますます増しています。ICTやAIを活用した、ケアの質の向上を実現していくことができる人材の育成を引き続き進めていくことも重要な役割と考えています。
本年も介護福祉事業者の皆様をはじめとし、地域や社会に貢献できる社労士事務所を目指し、各種サービスの提供を推進していく所存です。
結びあたり、皆様にとって本年が健やかで実り多き一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。
令和7年1月1日
社会保険労務士事務所 ひとあんど
杉山理恵・白井良孝