今回は令和6年の給与計算に関わるイレギュラー処理の「定額減税」についてご案内します。
定額減税はざっくり言うと、所得税と住民税を合わせて1人あたり年間4万円の税額控除が受けれる、という時限性の控除措置です。
ニュースなどでも取り上げられておりますが、とても詳細なルールが以下の通り、決まっています。
国税庁ホームページには2024/6/1付で在籍している従業員に対しては、毎月の処理としてとても難しく記載されておりますが、毎月の控除処理ができないなら最終的には年末調整または確定申告で、年税額調整して減税処理を受けるようになっております。
==目次================================
【1】 所得税の定額減税について
【2】 個人住民税の定額減税について
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3月28日、令和6年度税制改正関連法が参議院本会議で可決・成立しました。
改正法では、賃金上昇が物価高に追い付いていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、所得税・個人住民税の定額減税の実施が行われます。 定額減税は、納税者及び配偶者を含めた扶養親族1人(いずれも居住者)につき、令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円が税額から控除されます。ただし、合計所得金額1,805万円(給与収入2,000万円相当)超の高額所得者は対象外となります。
【1】 所得税の定額減税について
・定額減税額
1.本人(居住者(※1)に限る) 30,000円
2.同一生計配偶者(※2)および扶養親族(※3)(いずれも居住者に限る) 1人につき30,000円
(例)同一生計配偶者 有、 扶養親族 2名 の場合の定額減税額
30,000円(本人分)+30,000円×3名(同一生計配偶者と扶養親族の分)=120,000円
(※1)居住者とは、国内に住所を有する個人、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人をいいます。
(※2)同一生計配偶者とは、控除対象者と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が48万円(給与収入103万円)以下の人となります。
(※3)扶養親族とは、所得税法上の控除対象扶養親族だけでなく、16歳未満の扶養親族も含まれます。
・実施方法
令和6年6月1日以降最初に支払う給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額を控除します。
控除しきれない部分の金額は、以後令和6年中に支払う給与等に対する源泉徴収税額から順次控除します。
国税庁のホームページでは定額減税に関する情報が発信されており、以下にご紹介する特設サイトを軸として様々な情報が収集可能です。
特設サイト内に「定額減税に関する動画」が掲載されていますので、まずは一度ご覧頂いてはいかがでしょうか。
■国税庁 定額減税 特設サイト
■国税庁 定額減税に係る源泉徴収事務(動画)
■国税庁 令和6年分所得税の定額減税Q&A(令和6年3月改訂版)
【2】 個人住民税の定額減税について
前述のとおり、個人住民税についても定額減税が実施されます。
・定額減税額
1.本人(居住者に限る) 10,000円
2.控除対象配偶者および扶養親族(いずれも居住者に限る) 1人につき10,000円
定額減税額や配偶者の考え方が所得税の定額減税とは異なりますが、個人住民税は定額減税後の税額が各市区町村から通知されるため、計算作業は発生しません。
・実施方法
減税額については各市区町村からの通知を待てばよい一方で、納付方法は例年とは異なるため注意が必要です。
給与所得に係る特別徴収について、令和6年6月(7/10納期限)分は徴収せず、「定額減税「後」の税額」を令和6年7月分~令和7年5月分の11か月で均して徴収、納付することとなります。給与計算においては6月分の住民税を控除することのないようご注意ください。
総務省が作成しているQ&A集Q3-2-1にも記載されていますのでご参照ください。
■総務省 個人住民税の定額減税(案)に係るQ&A集